何らかの文章を含む制作物のために欠かせない校正。
適切な校正ができず内容にミスが生まれれば、受取り手に適切に情報を伝えられなくなってしまいます。
校正は制作物の完成度を大きく左右する非常に重要な作業と言えるのです。
一方、校正では気をつけることが多く、慣れていないと上手に行えません。
当記事のテーマは「校正」です。
校正の流れや押さえておくべきポイント、ルールや制度を上げるために大切なことを紹介していきます。
目次
校正の流れを紹介します!
1.初校
クライアントから受け取った初稿をもとに、制作を行います。
そしてできた制作物に対して、1回目の校正を行います。
クライアント側は、制作会社から送られた最初の校正を確認します。
赤入れした後、校正紙を制作会社に送ります。
2.再校
制作会社はクライアントの赤入れした校正紙を受け取り、赤字を修正します。
修正し終えたものを校正用に出力し、再度校正を行います(再校)。
ここでさらに修正を行い、クライアントに提出します。
クライアント側は、再度赤入れをします。
赤入れした校正紙は、再度制作会社に送られます。
3.三校
クライアントが赤入れした校正紙を受け取ります。
このときの校正紙を「再校戻し」といいます。
再校戻しの赤字も修正し、校正用に出力します。
4.以上のステップの繰り返し
この流れを繰り返します。
繰り返す回数は適宜変わり、状況によっては四校・五校に移ります。
校正の基本的なルール
誰でも分かるような指示出しを行いましょう
修正指示は見落としや誤解が発生しないように、修正箇所と内容が明確に分かるように書きこまなければなりません。
そこで共通の手段として用いられるのが校正記号です。
ただし、基本的なもの以外は使うと反対に使いづらくなってしまうかもしれません。
基本的に覚えておくべき校正記号について、後述します。
修正指示は赤字で行いましょう
印刷校正記号一覧によると、校正指示の記入は赤を用いるとされています。
ここで赤を用いるのは、単に目立たせるためです。
修正以外のコメントで真っ赤になってしまってはかえって見落としが発生してしまうため、補助的な指示は別の色で記載するようにすると無難です。
また、赤が目立たない校正紙の場合は、他の色を用いても良いでしょう。
とにかく、色は目立つものを使用してください。
余白に書き込みましょう
校正では修正指示を目立たせるのが重要です。
文章の行間は狭く修正指示が見づらい可能性があるため、引き出し線を書いて校正記号を書き入れます。
ただし、このとき元の文字を潰さないように注意が必要です。
元の文字を潰してしまうと、修正箇所がはっきりしなくなってしまいます。
校正の精度を上げるためのポイント
ここでは基本的なルールからより踏み込んで、校正の精度を上げるための方法を紹介します。
1.文章の書き方に気をつけよう
読みづらい文章では、内容の理解に時間がかかってしまいます。
これでは最後まで読んでもらえないことも。
そこで気をつけたいのが文章の書き方です。
以下の点に注意して文章を書いてみてください。
注意するポイント
・一文一意:すっきりした文章になるよう、一文一意で書きましょう
・長文にしない:一文40~60文字程度が読みやすいです
・主語述語のねじれに注意:難しい文章であるほど注意が必要です
・読点は読みやすい位置に:音読して息継ぎするタイミングが目安です
・漢字を使い過ぎない:場合によりますが息苦しくなります
2.表記を統一しよう
表記のバラつきは、文章を分かりづらくしてしまいます。
以下の点に注意してみてください。
表記揺れ
同じ言葉を、異なる文字表記で書いてしまうことです。
たとえば「事」と「こと」、「良い」と「いい」「よい」などです。
英数字、かっこや記号の半角・全角
英数字は統一しなければならないという決まりはありませんが、一般に半角に統一した方が見やすいです。
一方かっこや記号については、日本語に合わせて全角で書いた方が見やすいです。
最初のうちに気をつければ、慣れていくと思います。
口調の統一
口調とはつまり、です・ます調か、である調か統一しようということです。
混在していると文章に統一感が無くなりますし、気になって文章自体に集中しづらくなります。
時間
12時制か24時制か表記を揃えてください。
3.誤字脱字には気をつけよう
誤字脱字は非常に起こりやすいミスです。
必ずあると考えてチェックしてください。
以下はチェックするときに有効な観点です。
同音異義語
音が同じ文字は、読み合わせ校正を行っても発見しにくくなっています。
中でも、「制作」と「製作」のような同音異義語かつ内容が似ているものには注意が必要です。
もちろん語句の意味を知っておくのが前提なので、迷ったら調べるようにしましょう。
「ら抜き言葉」と「い抜き言葉」
会話文では違和感を感じませんが、それ以外の場合は注意が必要です。
場面に応じて使い分けてください。
4.適切な言葉遣い
間違った言葉遣いはノイズになります。
読み手に誤解や不信感を与える恐れすらあるため、注意が必要です。
このとき、以下の点に注意してみてください。
て・に・を・は
て・に・を・はを間違えると、誤解を招く恐れがあります。
たとえば、お茶「で」良いですと、お茶「が」良いですでは、感じる印象が異なります。
尊敬語、謙譲語、丁寧語
敬語はマナーです。
読んですらもらえなくなる可能性があります。
不快な言葉、差別用語
絶対に使ってはいけません。
一方で自分なりに気をつけても、意図せず他人を傷つけてしまうこともあるでしょう。
これを防ぐためには第三者のチェックが必須で、ここで校正が役立ちます。
5.校正時には心構えに気をつけましょう
校正は単純なようで、複雑にチェック項目が絡む作業です。
精度を上げるためのコツや心構えを最後に確認しましょう。
疑う
間違いが無いと考えておざなりになってしまっては本末転倒です。
間違いは必ずあると疑いましょう。
一日空ける
書いている最中はなかなか客観的になれません。
おかしな言葉遣いや内容の間違いに気づきにくくなっているのです。
そこでおすすめなのが、一日空けてみることです。
冷静さをもって校正するのも大切です。
できれば紙でチェックする
モニターでの校正では、紙面の場合よりもミスが起こりやすいとされています。
紙に出力してチェックするのが大切です。
複数人でチェックする
第三者による校正は、ミスを探し出すのにうってつけです。
気付かないうちに使ってしまう不快な言葉も減らせるでしょう。
押さえておくべき校正記号
以下に抑えておくべき校正記号を挙げます。
主な校正記号
・トル:文字の削除
・ミン:明朝体
・ゴシ:ゴシック体
・ローマン:欧文
・イタ:斜体
まとめ
校正は非常に重要な作業で、制作物の目的を達成するために欠かせません。
校正を行うときには、以下の点に注意してみてください。
この記事のポイント
・一文一意:すっきりした文章になるよう、一文一意で書きましょう
・長文にしない:一文40~60文字程度が読みやすいです
・主語述語のねじれに注意:難しい文章であるほど注意が必要です
・読点は読みやすい位置に:音読して息継ぎするタイミングが目安です
・漢字を使い過ぎない:場合によりますが息苦しくなります
・表記揺れ
・英数字、かっこや記号の半角・全角
・口調の統一
・時間
・同音異義語
・ら抜き言葉とい抜き言葉
・て・に・を・は
・尊敬語、謙譲語、丁寧語
・不快な言葉、差別用語を使わない
・疑う
・一日空ける
・できれば紙でチェックする
・複数人でチェックする