「トリミング」は、イラストのデザインを行う上でとても有効です。
それ自体が構図の参考になるだけでなく、デザイン自体の勉強にもなるためです。
このように、トリミングについて学ぶことはイラストをデザインする上では欠かせません。
当記事では、イラストのデザイン技術の向上について、「トリミング」と「カメラ」という側面から扱っていきます。
イラストデザインの初心者の方、イラストデザインで技術の向上に行き詰っているという方はぜひ参考にしてみてください。
イラストトリミングとは
トリミングとは、構図を考える方法の1つです。
良い構図で描くために、対象から描く範囲を切り取ります。
たとえば、スマートフォンで対象を撮影するときは、なんとなく対象の大きさや撮影する角度を考えるかと思います。
絵画でも対象をどのように描くのかを考える点は同様で、そのためにトリミングが役立ちます。
トリミングの方法の紹介
構図には基本型があります。
ここでは基本となるトリミングの方法をご紹介します。
三分割法
三分割法とは、写真を三分割する手法です。
最も一般的な手法です。
縦、横に三分割し、縦線と横線の交わった点に強調したいものを据えます。
これにより、主題が引き立てられます。
四分割法
文字通り、写真を四分割する方法です。
より主題を引き立てたいとき、より主題に集中させたいときに利用すると良いでしょう。
たとえば、前ボケを利用したいときに四分割法を利用すると、主題が浮き出るようになります。
トリミングのコツをご紹介します!
では、実際にトリミングするときのコツを5つご紹介します。
1.主役を考慮する
主役は何でしょうか。
人物かもしれませんし、建物かもしれません。
また、全体の雰囲気自体が主役ということもあるでしょう。
写真の主役を考えると、主題を決めやすくなりますし、目的も見失いにくくなります。
2.頭を切らないようにする
人物画像のトリミングをするときに大切です。
頭を切ってしまうと気持ち悪いですし、縁起も悪いです。
3.ぴったりは避ける
主題がぴったり収まるようにトリミングするのはあまり良くありません。
デザインでも同じですが、余白が重要になります。
主題に余白を作るか、または主題が外側にはみ出るようにトリミングしましょう。
4.迷ったら拡大/縮小する
トリミングしたときにどうしても「気持ち悪いなあ」と感じてしまうこともあるでしょう。
そのようなときは、極端に縮小または拡大してみてください。
全然見え方が変わってきますし、気持ち悪さも解消されるかもしれません。
5.足りない部分は合成する
縦幅がもう少し欲しい、横幅が足りない、そのようなこともあるでしょう。
そのような場合は、合成も考えましょう。
ただし、ある程度のスキルが必要となります。
さすがに不自然すぎる合成は控えましょう。
トリミングのタブーとは
先ほどはトリミングするときのコツをご紹介しました。
ここでは、反対に気をつけたい「トリミングのタブー」をご紹介します。
1.関節で切る
先ほどは首で切ってはいけないと紹介しましたが、首以外の関節についても切らないことが大切です。
首や手首、足首やひじなど人間の関節で切った画を見ると、人は不安になります。
人物をアップでトリミングしたいときは、頭の上部が切れていても問題ないので、関節は切らないようにしてください。
また、人物の顔をはっきりさせたくない時も、首なしにはしないようにしましょう。
2.写真の端ギリギリに被写体を配置する
写真の端ギリギリまでを使って被写体を配置すると、窮屈なイメージになってしまいます。
また、見た目もダサくなってしまいます。
上下に余白を取るか、見せたい部分を拡大するなどして対策しましょう。
3.首切り・串刺し・目刺しに気を付ける
背景にある窓枠や街頭など直線的なものがある場合、それらが被写体の首や目、体の中心を通るのはあまり良くありません。
そのような場合、可能であれば写真を撮り直すのが簡単な対策です。
また、デザインするときに吹き出しが目に刺さるようになってしまうのもNGです。
首切り・串刺し・目刺しには、トリミング時もデザイン時も気を配る必要があります。
構図の技術を向上させる方法としてカメラもおすすめです!
構図はイラストのデザインにおいてとても役立ちます。
そして、構図の技術を向上させるのに一番良いのがカメラです。
ここでは、カメラで構図を練習するメリットを8個ご紹介します。
1.ボケの効果と演出が分かる
ポートレートのイラストをデザインするとき、背景をぼかすとキャラクターを際立たせられます。
また、背景ではなく被写体の手前をぼかしたり、玉ボケを入れたりして実験してみてください。
デザインの表現の幅が広がるでしょう。
2.順光・サイド光・逆光を使い分ける
写真を撮ることで、光の当たり方について自然と学べます。
少し難しく感じる方も多い光について自然と学べるのも、カメラの利点でしょう。
3.コントラストの効果
コントラストが違うと、絵の雰囲気が大幅に変わります。
メリハリが出ますし、立体感も出るためです。
このコントラストをデザインに取り入れるだけで、見せたいものに視線誘導できたり、奥行きや立体感を再現できたりと、表現の幅が広くなるのです。
4.フラッシュやレフ板の効果
写真の勉強をしていると、「ストロボ」や「レフ板」を知ると思います。
これらは端的に述べると「影を飛ばす道具」です。
たとえば、モデルさんの顔に影が入ると暗く見えてしまうことがあり、そのような影をなくす役割があるのです。
これはイラストでも同様で、影を入れるとキャラクターの魅力が半減してしまうなら影を入れない、という選択ができるようになります。
5.ホワイトバランスで色温度を変えられる
ホワイトバランスは、本来白さを調整するためのものです。
ただし、カラーフィルターのようにも使用できます。
たとえば、暖かさを演出したいときは暖色系、寒さを演出したいときは寒色系のホワイトバランスにして色温度を変えられます。
この調整はカメラを通して学べますが、デザインでも活きます。
6.広角・望遠の違いを自然と理解できる
これらの違いは、イラストデザインの初心者がつまずきやすい点です。
そして、イラストを通してではなくカメラでの練習を通した方が理解しやすいです。
様々な構図を魅力的にデザインするためにも大切なポイントです。
7.視線誘導が学べる
どんな作品もデザインも、視線誘導を適切に行うことで長時間見てもらえます。
構図の中で目が移動するコースを意識しつつモチーフを配置することが大切になりますが、これもカメラを通して学べます。
8.空気遠近法に対する理解が深まる
空気遠近法とは、大気の性質を利用した空間表現法です。
戸外の風景を眺めたときに、遠いものほど青みがかってかすむと思います。
これもカメラを通して学べますし、イラストのデザインに活かせます。
まとめ
当記事では、イラストデザインに役立つトリミングの手法や、カメラを使うことによってイラストのデザインが向上することをご紹介しました。
トリミングは基本的に「三分割法」か「四分割法」で行われます。
実際にトリミングするときは、以下の点を押さえておきましょう。
また、カメラでの撮影はイラストの向上に役立ちます。
ぜひ一度勉強してみてください。
まとめ
・主役を意識する
・頭を切らない
・ぴったりを割ける
・迷ったら拡大・縮小してみる
・足りない部分は合成する