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mitekaku journal

2023/2/27

更新 2026/10/28

デザインの依頼書・指示書の書き方|伝えるべき6つの項目と、制作会社が必ず聞くこと

デザインを依頼したのに、思っていたものと違うデザインが上がってきた、という経験はありませんか。原因の多くは、依頼の段階で必要な情報が伝わっていないことです。
この記事では、デザイン制作をしている株式会社Ryuki Designの編集部が、デザインの依頼書・指示書とは何か、必要な理由、制作会社が依頼を受けるときに必ず聞くこと、依頼書に書く基本の項目、色の希望の伝え方、イメージと違うデザインが上がってきたときの対処法を紹介します。

デザインの依頼書・指示書とは

デザインを制作会社やデザイナーに頼むときに、「何を、だれに向けて、どんなふうに作ってほしいのか」をまとめて渡すのが依頼書や指示書です。呼び方はさまざまですが、役割は大きく次の2つに分けられます。

依頼書:作ってほしいものを伝える

依頼する側が、制作物の目的、ターゲット、使う場所、デザインの方向性、入れたい文章や素材、サイズ、納期などをまとめたものです。形式は決まっていないので、書類でも、メールやチャットの文章でもかまいません。大切なのは、必要なことがもれなく伝わることです。

指示書:デザインだけでは伝わらないことを補う

Webサイトやランディングページでは、デザインの画像だけでは伝わらない情報があります。ボタンを押したときのリンク先、動き(アニメーション)、画面の幅を広げたときや狭めたときの見え方などです。こうした情報や、コーディングのルール(class名の付け方、使ってよいプログラムなど)をまとめたものを、デザイン指示書と呼ぶことがあります。

依頼書・指示書が必要な理由

「書くのは面倒」と感じるかもしれませんが、依頼書や指示書は、結果的に時間と費用を減らしてくれます。

やり取りの回数を減らせる

必要な情報が最初にそろっていれば、制作する側が「ここはリンクですか」「この色でよいですか」と1つずつ確認する必要がなくなります。

作り直しを防げる

思っていたものと違うデザインができると、修正に時間も費用もかかります。最初に方向性を伝えておけば、大きな作り直しを防げます。

「言った・言わない」を防ぐ記録になる

依頼書に書いたことは、あとから確かめられる記録になります。書いたはずの要望が反映されていなかったときも、「依頼書に書いたとおりにお願いします」と伝えられます。

制作会社が依頼を受けるときに必ず聞くこと

デザイン制作をしている株式会社Ryuki Designでは、依頼を受けるときに、色味や参考のデザインなど、デザインの方向性が分かるものを必ず聞いています。
「いい感じでお願いします」とだけ頼まれて赤系の色で作ったあとに、「やっぱり青系がいい」と言われると、ほぼ最初から作り直しになってしまうからです。色の希望や好きなデザインが少しでもあれば、最初に伝えてもらうのがいちばんの近道です。

色味の希望

使いたい色、会社やブランドの色(コーポレートカラー)、反対に使いたくない色を伝えましょう。「はっきり決まっていない」場合も、「暖かい色がいい」「落ち着いた色がいい」くらいの方向が分かるだけで、作る側は大きく迷わずにすみます。

参考にしたいデザイン

近いイメージのWebサイト、チラシ、バナーなどがあれば、URLや画像で見せてください。「この色の組み合わせが好き」「写真の使い方を参考にしたい」のように、どこを参考にしたいのかを一言添えると、さらに伝わりやすくなります。参考の集め方は「デザインイメージの伝え方」で紹介しています。

方向性を先にそろえてから作る

LP(ランディングページ)の制作では、ヒアリングシートで目的や商品・サービスの内容を聞き、構成案を作って打ち合わせで内容をそろえてから、デザインに進みます。最初にお客さまの好みや希望を聞き、なぜこのデザインにするのかを伝えて、出来上がりのイメージを共有しておくことで、修正は初稿から2回までに収めるようにしています。

依頼書に書く基本の項目

依頼書には、次の6つを書いておくと安心です。全部が決まっていなくても、分かる範囲で書いて、決まっていないことは「未定」と書いておきましょう。

1. 目的とターゲット

その制作物で何をしたいのか(問い合わせを増やしたい、イベントに来てほしいなど)と、だれに向けたものか(年代、性別、どんな悩みを持つ人か)を書きます。

2. 使う場所と使い方

Webサイト、広告のバナー、SNS、チラシ、店頭のポスターなど、どこで、どのように使うのかを書きます。使う場所によって、サイズや文字の大きさ、のせられる情報の量が変わります。

3. デザインの方向性

色味の希望、使いたくない色、参考にしたいデザイン、目指す雰囲気(上品、親しみやすい、力強いなど)を書きます。前の章で紹介したとおり、ここがいちばん大切です。

4. 入れる文章と素材

キャッチコピーや本文、料金などの文章と、ロゴや写真などの素材をそろえて渡します。ロゴや写真は、できるだけ画質の高いデータを渡しましょう。文章や写真があとから変わると修正が大きくなるので、できるだけ確定したものを渡すのが理想です。

5. サイズ・納品の形式

仕上がりのサイズと、どんなデータで受け取りたいかを書きます。Webで使うなら画像(JPEG・PNGなど)、印刷するなら印刷用のデータが必要です。色の表し方も、Webは光の三原色のRGB、印刷物はインクのCMYKと、使い道によってちがいます。

6. 納期・予算・修正の範囲

いつまでに必要か、予算はどれくらいか、デザイン案は何案ほしいか、修正は何回までか、追加の修正に費用がかかるかを確認しておきます。費用の認識がずれるとトラブルのもとになるので、最初に確かめておきましょう。

5W1Hで依頼内容を整理する

依頼書の項目を埋める前に、5W1H(いつ・どこで・だれに・何を・なぜ・どのように)で内容を整理しておくと、書きもれが減ります。デザインの依頼では、5W1Hをすべて「作るもの」と「見る人」を軸に考えるのがポイントです。

いちばん大事なのは「だれに(Who)」

5W1Hの中でも、デザインの方向性をいちばん大きく左右するのが「だれに(Who)」です。年齢、住んでいる場所、困っていることまで決まると、色・書体・写真の選び方が決めやすくなります。
ただし、相手をしぼりすぎると多くの人に届かず、広げすぎると伝わりにくくなります。「いちばん見てほしい人」を1人思い浮かべて書くと、ちょうどよい広さになります。

「なぜ(Why)」は作る側の目的と、見る人の悩みの両方を書く

「なぜ(Why)」には、「来店のきっかけを作りたい」のような作る側の目的と、「近くで安く買える店を探している」のような見る人の悩みの両方を書きましょう。両方が分かると、デザイナーは何を大きく見せればよいかを判断しやすくなります。

色の希望を伝えるコツ

色は、言葉だけでは特に伝わりにくい部分です。次の3つを意識しましょう。

色の名前に、印象の言葉をつける

同じ「青」でも、「大人っぽい落ち着いた青」と「明るく爽やかな青」では、仕上がりがまったくちがいます。色の名前だけでなく、どんな印象の色なのかを添えましょう。

見本の色を見せる

言葉にしにくいときは、好きな色が使われている写真やWebサイト、商品のパッケージなどを見せるのが確実です。

派手さの度合いを決める

目立たせたいのか、落ち着いた印象にしたいのかによって、同じ色でも使い方が変わります。「にぎやかに目立たせたい」「上品に落ち着かせたい」など、派手さの度合いも伝えておきましょう。

依頼書を書くときのポイント

依頼書は、内容だけでなく、書き方や渡し方も大切です。

だれが見ても分かるように、簡潔に書く

依頼書は、担当のデザイナーだけでなく、ディレクターや社内の確認者も読みます。長い文章より、項目ごとに短くまとめたほうが伝わります。

早めに渡し、早めに確認する

情報が遅れると、そのぶん制作の時間が短くなります。渡した素材も、画質が足りない、書体が合わないなどの問題がないか、早めに確認してもらいましょう。

決まったことは1か所にまとめる

メール、チャット、電話などで少しずつ伝えると、どれが最新の内容か分からなくなります。決まったことは依頼書に書き足して、1か所にまとめておきましょう。

Webの場合は、動きやリンク先も書く

Webサイトやランディングページでは、ボタンのリンク先、動き、スマホとパソコンでの見え方なども書いておくと、デザインのあとのコーディングまでスムーズに進みます。

依頼するときに避けたいこと

次のようなことは、デザインのやり直しやトラブルにつながりやすいので気をつけましょう。

あとから決める人が出てくる

デザインがほぼできあがったあとに、上司や別の部署の人が出てきて方向性が変わると、大きな作り直しになります。制作の現場でも、お客さま側でチェックする人が多いと修正が長引きがちです。最終的にだれが決めるのかを、依頼の前に決めておきましょう。

好みだけで判断する

デザインを確認するときは、自分の好みより先に、「目的に合っているか」「ターゲットに伝わるか」を考えましょう。

ほかのデザインそのままを求める

参考を見せるのはよいことですが、ほかの会社のデザインをそのまま作ってほしいという依頼は、盗作になるおそれがあります。参考にするのは、色の組み合わせや雰囲気など一部にとどめましょう。

余裕のないスケジュール

時間が足りないと、確認や修正が十分にできず、仕上がりにも影響します。修正の時間も含めて、余裕をもったスケジュールで依頼しましょう。

イメージと違うデザインが上がってきたら

準備をしていても、イメージと違うデザインが上がってくることはあります。そんなときは、次の順番で考えましょう。

どこまでイメージを伝えていたか確かめる

まずは、依頼のときに色味や参考デザインをどこまで伝えていたかを振り返ります。伝えていなかったことがあれば、それを補って伝え直します。

どこを、どう直したいかを具体的に伝える

「なんか違う」ではなく、「見出しの赤を落ち着いた紺に」「写真をもっと明るいものに」のように、場所と希望を具体的に伝えましょう。デザインに直接書きこめる無料のツール「mitekaku」を使うと、直したい場所をデザインの上で示して共有できます。修正回数を減らすコツは「デザインの修正が終わらない原因と、修正回数を減らす方法」で紹介しています。

得意・不得意があることも知っておく

デザイナーにも得意な分野と不得意な分野があります。何度伝えてもイメージに近づかないときは、制作会社に相談して、担当や進め方を見直してもらうのもひとつの方法です。

まとめ

デザインの依頼書・指示書は、作ってほしいものを正しく伝え、作り直しを防ぐためのものです。目的とターゲット、使う場所、デザインの方向性、文章と素材、サイズと納品の形式、納期と予算を書いておきましょう。
なかでも大切なのが、色味と参考デザインです。「いい感じで」と任せるより、少しでも希望を伝えたほうが、早く、イメージどおりのデザインに近づきます。

ポイント

■依頼書に書く基本の項目
1. 目的とターゲット
2. 使う場所と使い方
3. デザインの方向性(色味・参考デザイン)
4. 入れる文章と素材
5. サイズ・納品の形式
6. 納期・予算・修正の範囲

■書く前に5W1Hで整理する
・いつ・どこで・だれに・何を・なぜ・どのように
・いちばん大事なのは「だれに」

■色の希望を伝えるコツ
・色の名前に、印象の言葉をつける
・見本の色を見せる
・派手さの度合いを決める

■避けたいこと
・あとから決める人が出てくる
・好みだけで判断する
・ほかのデザインそのままを求める
・余裕のないスケジュール